~ED(勃起不全)と病気の関係~
ED(勃起不全)はどのような病気と関係しているのでしょうか?
一見、ED(勃起不全)は部分的な問題であると思われがちですが、実は体全体の健康状態と深く関係しています。例えば、糖尿病、高血圧、肥満、運動不足、尿路症状などの要因によって、ED(勃起不全)が引き起こされることがあります。
そのため、ED(勃起不全)の症状は生活習慣に強く影響されると言っても過言ではありません。
日本生活習慣病予防協会は、「世界の死者数に占めるがんや糖尿病、心臓疾患などの非感染性疾患による死者の割合は、1990年の半分から、2010年には3分の2近くまで増加した」と発表しています。
つまり、生活習慣病は世界規模で増加しているということがわかります。
それと同時に、全世界でED(勃起不全)によって困っている人も増加しているようです。
具体的には、1995年に世界中で約1520万人だったED患者が、2025年には約3222万人に増加すると予測されています。したがって、ここ30年間でED患者は2倍以上に増えているということになります。
もちろん、人口増加や高齢化なども影響していると考えられますが、2倍以上の患者数の増加はやはりそれだけでは説明がつかないでしょう。
生活習慣病の中でもED(勃起不全)と強く関係しているのは心血管疾患であると言われており、ED(勃起不全)は心血管疾患、特に虚血性心疾患(いわゆる心臓発作)の予兆として現れることがあります。
ED(勃起不全)と他の病気の関連性については以上のことがわかっていますが、ED(勃起不全)を長期的に改善するような治療薬は開発されていません。
ということは、健康状態に気を配ることがED改善への近道であると言えます。
心血管の状態がED(勃起不全)を引き起こしている場合、心臓発作を予防するのに効果的な生活習慣を心掛けることで、ED(勃起不全)が改善する可能性があると考えられます。
虚血性心疾患の要因について研究した論文においては、Pro-inflammatory dietary(炎症食)をとっていた人は、anti-inflammatory diet(抗炎症食)をとっていた人よりも虚血性心疾患の割合が2倍だったそうです。
炎症食とは、体内の炎症を促進させるような食事のことです。炎症食に該当するものを簡単に見極める方法は、小麦粉や砂糖、酸化した油が使われているかどうかを確認することです。
例えば、パン、お菓子、ファストフード、植物油、マーガリン、ショートニング、揚げ物、牛乳、加工肉などです。詳しくは、下記のサイトに載っていますので、参考にしてください。
Inflammatory Foods List: 17 Foods That Poison The Body [Infographic]
もちろん、これらの食品を食べてはいけないということではありません。
ですが、これらの炎症食品を取りすぎていると思われた方は、避けてみることをおすすめします。もしかしたら、ED(勃起不全)が改善するかもしれません。
それに加えて、抗炎症食を取り入れてみるのも効果的だと考えられます。
ハーバード大学によると、トマトやオリーブオイル、葉野菜、ナッツ、魚、フルーツなどが抗炎症食品として挙げられています。
以上のように、心血管の症状によってED(勃起不全)が引き起こされている人は、炎症食をやめて、抗炎症食を取り入れることを意識するとよいでしょう。
さらに、適度な運動、ストレスを溜めないことなども心臓発作の予防に効果的です。
また、喫煙はED(勃起不全)の要因になることもあるので、ED(勃起不全)を改善し、心臓病を予防するという2つの意味で禁煙は効果的だと考えられます。
ED(勃起不全)は身体の健康状態と密接に関係しているため、こうすれば絶対よくなるとは断言できませんが、生活習慣を見直すのは確実な方法であると言えるでしょう。
参考文献
Ayta, I. A., McKinlay, J. B., & Krane, R. J. (1999). The likely worldwide increase in erectile dysfunction between 1995 and 2025 and some possible policy consequences. BJU international, 84(1), 50-56.
Shamloul, R., & Ghanem, H. (2013). Erectile dysfunction. The Lancet, 381(9861), 153-165.
O’Neil, A., Shivappa, N., Jacka, F. N., Kotowicz, M. A., Kibbey, K., Hebert, J. R., & Pasco, J. A. (2015). Pro-inflammatory dietary intake as a risk factor for CVD in men: a 5-year longitudinal study. British Journal of Nutrition, 114(12), 2074-2082.
